1話 噂高き王

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1話 噂高き王

フレイアドール大陸の魔法国家、レグリアスにそれはそれは美しくも気高いそして民から評判も良いそんな民に愛され市優しい王様がおりました。 レグリアス王国ではもうすぐ第65期の生誕祭の前夜そして、レイヤ陛下の婚約の儀式も生誕祭で行われる手はずでした。 これは、レイア陛下とその婚姻相手貴族で最も位の高い、シュトワルム・ヴァール家に居る愛娘アリアとの恋のお話である。 1、噂高き王 アリア・シュトワルム・ヴァールは明日の生誕祭が来なければ良いのにとため息をついた。 そう、アリア・シュトワルム・ヴァール18歳、成人の議をして数か月、明日でいよいよ、婚姻して、王妃になる身の上だ。 しかし、アリアは嫌そうにため息をついた。 正直、つまらない、なぜかと言えば、これは、アリアが望んでいない父と王の間で取り決めた政略婚だからだ。 好きでもない人の元に、何故旅立たなくてはならないのか? っと、深く嘆きながら疲れた顔でそう思い満点の夜空を見上げた。 今街中は、前夜祭ですごく楽しそう、明日のメインイベントが婚姻の議と言うだけあって他国からもそれはそれは沢山の人が見に来て祝福している。 アリアは辺りを見回し誰もいないことを確かめると部屋を抜け出した。 『ヘルズゲート』ここは貴族の中でも穴場なお店だ。 何故に貴族の娘達にこうも有名なのか? そけは、誰でも気軽に一夜限りの関係を持てるお店だからだ。 アリアはそこに入り店員にクレセアと名前を書くと女性の店員に手渡した。 そして店員に呼ばれ男性の居る席へと案内される。 「初めまして、クレセアです、あの、貴方は」 そう問えば男性は気さくに微笑むと 「リチャードだ、よろしく、クレセアさん」 そう言われてアリアは男性に甘えた声で詰め寄った。 「そろそろ、宿屋へ行きましょう? 貴方に愛されたいわ」 そう言えば二言返事でリチャードが返してきたのでアリアは二人で店を出で宿屋へと向かった。 リチャードに払ってもらい部屋に入ると 「でっ、なんで、君は、処女を捧げたいわけ? 俺なんかが貰っていいの?」 その問いかけにアリアが頷く。 そう、この国では政略婚の初めては処女と相場が決まっている。 相手に身の潔白を示し、それで初めて、合意した扱いになるのだ。 リチャードは椅子に座ると 「俺さ、正直に言うと、すごく驚いているんだよね? こんなかわいい子が、あんなところで売れ残っていたからね」 その言葉にアリアはたじろいだ。 その様子をクスクスと笑うと 「いいよ、君の処女なら喜んで、俺が貰おう」 そう言うと抱き寄せられ唇に情熱的なキスをされた。 アリアが 『これで明日は、婚姻しなくて、済む』 そう思った途端何故だか彼と目が合った。 戸惑っていると 「気が変わった、ちょっと待っててくれ、それと、君……」 そう言ってから少し考えた顔をすると 「もしかして、花嫁? じゃないよな?」 その問いかけにアリアが動揺したように 「そんなわけが」 そう呟けば少し疑うようにこちらを見つめて来たのでアリアが戸惑えば 「そう、だよね、そんなはずないよな?」 そう言われて胸を撫でおろした。 そして、アリアはリチャードに弄ってもらいながら昨晩過ごすと目を覚ました頃には夜が明けて昼過ぎに成って居た。 慌てて帰宅するとそこには、リチャードの姿が、慌てた様に立ち止まるとリチャードもそれに気づきアリアを黙って見つめると 「何かの手違いだろうか?」 明らかに不服そうな物言いにアリアはただ黙るしかない。 父親のヴァール家当主が慌てた様にアリアの横に立ち 「アリアご挨拶なさい」 そう言われればアリアが 「アッ、アリア・ヴァールです、陛下、お会いできて光栄ですわ」 そう言って礼儀正しく挨拶をすれば無言でリチャードはアリア近づくとアリアの頬を軽く平手で打ち据えた。 痛みにアリアが涙を流せば 「よくも、俺の婚姻に、泥を塗ってくれたな」 小声だが、それはアリアにも確実に聞こえていてアリアの身が恐怖に染まり後ずさろうとすればそれを片手で抱き寄せ阻むと 「彼女の事は、好きにしていいな? 伯爵」 その問いに父親もあわてて頷けば無言で抱き寄せ歩き出したのでアリアは馬車に放り込まれるとリチャードは扉を閉めてからアリアを見つめた。 昨日までとはうって違い、服装も、その辺の流行りのトレンドではなく、王族らしくマントを羽織っておりアリアに 「城に着いたら、いくつか聞きたいことがある、それまで寝ておきなさい」 そう言うなりアリア近づくとアリアの頬を撫で 「お休み、ラシエンダ」 そう言われれば睡魔に襲われこてっとアリアの意識は途絶えた。 ゆっくりとアリアが目を覚ますと 「おはよう、睡眠魔法かなり聞いてたようだな?」 その問いかけにアリアが戸惑えばリチャードはため息をつくと 「では、質問しようか? なぜあの場にいた? 明日は、婚姻の議だったはずだが?」 その問いにアリアが俯けばアリアの肌に痛みが走った。 痛んだ身体を見つめればそこには細い鞭のようなしなやかなアイテムを持っているリチャードの姿が見えたのでアリアが慌てて 「ちょっ、待って、陛下、お願い」 そう叫べばリチャードは無言でアリアを睨みつけて来たのでアリが戸惑えば 「質問を変えようか? あの場で、何を捧げる気だった?」 その問いかけにアリアは怯えた様に短く 「ひっ、おっ、お許しを」 そう泣きさけべばリチャードはため息をつくと 「アリア、欲しいのは謝罪の言葉ではない、ちなみに、陛下と呼ぶな、形式上は、もう、婚姻している」 その言葉にアリアは目を見開いた。 「うそ、なんで」 思わずそう出ればリチャードは微笑むと 「俺はちゃんとお前に名乗っただろう? 俺のフルネームは、レイヤ・リチャードだぞ」 その言葉にアリアはぽかんとする。 「そっ、そんな」 そう言えばめったに国王がフルネームを名乗る事なんてなかった。 だから知らなかったのだ。 アリアが戸惑えば 「でっ、酷く、仕置きする前に聞き出そうと思って居たんだが」 そう言いながらアリアを睨みつけたまま淡々と言葉を紡ぐ。 「大方、この俺との婚姻が嫌なのだろう? だから、俺との婚姻を台無しにする為にあの場に来たんだよな?」 そう問われればアリアが頷いた。 それを見た瞬間乱暴にアリアの腕を掴むと引き寄せ 「そんな事の為だけに俺との婚姻の義を破棄しようなど、人を馬鹿にしすぎだ」 そう言うと無言で引きずるように歩き出した。 そう何処に連れて行かれるのかと思えばそこは寝室の部屋だった。 アリアが悲鳴を上げれば 「よかろう、昨日の続きと行こうじゃないか? 嫌がらなくていい、すぐよくなる」 その言葉にアリアが慌てて 「遠慮します」 そう叫べば、リチャードは冷たく冷えた眼差しであざ笑うかのようにくすくすと笑っていた。
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