ひんやりとした物

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『ひんやりとした物』 それはかき氷。 氷の冷たさとシャキッとした食感に、冷たい果物のシロップに、ひんやりと感じる。 ひんやりとした物。 それは風鈴の音。 コンクリートの熱を吸った蒸し暑い空気が風鈴を揺らすと鳴る、“リン”という高い澄んだ音に、ひんやりと感じる。 ひんやりとした物。 それはアイス。 コンビニで買ったアイスの袋から飛び出てくるチョコミントのスーっとした匂いに、ひんやりと感じる。 ひんやりとした物。 それは噴水。 公園にズアアと吹き上がる様は見ているだけでも涼しく、ひんやりと感じる。 また風に乗り飛んでくる水しぶきも太陽の熱で火照った体を冷ましてくれる。 ひんやりとした物。 それは窓や床。 宿題を終え家事を終えガラス張りの窓に背中をくっ付けひと休み。Tシャツ越しに感じる窓はどこか、ひんやりと感じる。 また布団で寝ると朝起きたとき床にいることも多いのである。どうせ床で寝るなら最初から床で寝ようと思い床に転がった時、ひんやりと感じる。 味覚、聴覚、嗅覚、視覚、触覚。 五感で感じる夏のひんやり。
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