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お姫様が来た理由
僕は困惑していた。
目の前の光景が信じられなかった。
今、机を挟んでミラーナ姫がいる事を。
「あの……、何故来られたんでしょうか?」
恐る恐る聞いてみた。
「勿論、貴方に会いに来たんですよ。ライトさん。」
ニッコリ笑って答えたミラーナ姫。
そりゃそうでしょうねぇ、でもその理由がわからない……。
「何故、私が来たのかわからないみたいですね。」
うっ! 図星だ。
「動揺する気持ちはわかります。いきなりの訪問も驚くでしょう。でも、私には貴方に会わなければならない理由があるんです。」
「会わなければならない理由?」
「冒険者学校の入学試験、私も参加していて貴方達パーティーの様子をチラッとですが拝見していました。無駄な動きが無くスムーズに魔獣を討伐したのはお見事でした。そして、それを指示していたのはライトさん、貴方だと言う事も私は気づきました。そんな貴方が不合格になるなんてありえません。」
見られてたのね……。
確かに指示や作戦を立てたのは僕だ。
過去の冒険者学校の受験課題を取り寄せて僕達は何回もシュミレーションをやって受験の時に正にその通りに出来たのだ。
「貴女が不合格になったのを知ってお父様に頼んで調査をしてもらいました。その結果、不正を行い入学した者が何人かいたのです。多分、目当ては私でしょうね……。」
「姫様を? あっ、姫様とお近づきになろうと?」
「えぇ、その通りです。そういう邪な気持ちで近づいてくる人達を私は幼い頃から見て来ましたから……、残念な事です。」
貴族の世界は煌びやかだけどドロドロしている、と聞いた事があるけど……、大変だなぁ。
「ですから、私はお父様に入学辞退と事が収束するまで雲隠れをする、と言ったのです。勿論、お父様から不正に関わった者達に厳しい処分が下されるでしょうし。」
ん? 雲隠れ?
「えっと、つまり……。」
「えぇ、暫くお世話になりたい、と思っております。」
……えぇ、思考が停止しました。
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