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エピローグ
そんなある日、父からの留守電が入っていた。祖母が倒れたという。
危篤だと言うが、取りも直さず、仕事を休み飛行機に乗った。
母の話によれば、おそらく祖母は縁側で日向ぼっこをしている最中に、急に脳が出血して倒れたらしい。
祖母は自分が命を助けた”しろ”をとても可愛がっていて、首にひもをつけていたようだが、”しろ”の方も別段それを嫌がる様子もなく、常日頃から祖母の側を離れなかったようだ。
祖母が倒れてから数時間以上経っていたはずだが、”しろ”はその間ずっと、トイレにも行かずエサも食べず、祖母の側でじっと待っていたらしい。
そんな祖母も入院して数日後に亡くなったが、布団に寝かされた祖母のまわりを”しろ”が歩き回り鳴いていたのが印象的だった。
葬儀も済み、やがて”しろ”が何も食べなくなった。
自分が知っている猫の衰え方とはすこし違う。その時の”しろ”はちゃんと自分で歩けるし、水も飲んでいた。
そしてまもなく”しろ”も旅立った。祖母を見送って安心したのかもしれない。自分の役目は果たしたと。
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