プロローグ
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それは3月のある日。桃の節句も終わって春めいてきた頃のことだった。 おだやかな陽射しの降り注ぐ午後、母が出先から戻ってきて車をバックで駐車場に入れ、門扉を通り庭に入った時、ガラス越しの縁側に祖母が倒れているのを発見した。それも血溜まりの中に。 祖母の手にはひもがしっかりと握られていて、その先には首輪につながれた一匹の猫がいた。
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