ライン上の神さま

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 十分ほどネット記事を読んでからサイトを覗いてみると、いくつか回答が返ってきていた。 『盆栽などはどうでしょうか。心が落ち着きますよ』 「じじいか」 『このサイトに対処法が書いてありますよ  (*^-^)!  https────』 「URLは却下」 『生きていること。それがもっとも幸福で刺激的なんだと思います。  なぜ私がこのような考えにたどり着いたかと言いますと…………』 「自分語りは別でやってくださーい」 『こいつ、また同じ質問してて草   どんだけ陰キャ暮らししてんだよww  かわいそすぎワロタwwwwwwww』 「お前よりかは明るい暮らししてるよ!っと」  スマホをスリープモードにして、枕元に投げ捨てた後、手足を投げ出すように、仰向けになる。   「今日も収穫なし、か」  この日課を始めて、もう半年になる。  きっかけは友達にこの掲示板を紹介されたことだった。 「生の意見が聞けるから下手な記事より信憑性あるぜ」  と、友達は言っていたが結局はどれも他人の真似事。  学べたのはコインでアンサーが釣れるくらい。この世界が変わるような回答は一つもない。  やはり、つまらない世界にすんでいる人間は、つまらないことしか知らないらしい。  ピコーン。  聞き慣れた音が部屋に響いた。  真っ暗な天井がスポットライトを当てられたみたいに、白く輝く。  僕は光の線に沿うように天井から枕元に目線を移動させると、緑と白を四対一くらいで割り振った四角形がスマホの画面に、ぼわっと浮かび上がっていた。 「誰だ。こんな時間に」  スマホを手にとってラインの内容を見る────思わず、震えた。 『ワタシは神様です。  丸 涼太(まる りょうた)くん。ワタシは、あなたのことをよく知っています。  ワタシと一緒に、つまらない毎日を変えていきましょう』  これが僕と猫アイコンの神様とのファーストコンタクトだった。
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