② エクアトに雪女。

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② エクアトに雪女。

肌がちりちりする。 白い道路が発光しているかのように眩しい。 青と緑がやけに濃い。 空港を一歩出た途端、見慣れたセントールとは全てが違う事に驚いた。 「これが、南国の太陽か……」 セントール国際空港から、空挺で7時間。 転移魔法陣を使えば1秒なのに、座り心地の最悪な硬い座席に固定されての7時間はほとんど拷問だ。 しかし、その苦痛を忘れるほど、南国の何もかもが新鮮で眩しい。 大きく息を吸い込むと、嗅いだことのない甘い香りが胸いっぱいに広がった。 これが、南国の匂い。 「腰いたいんですけどぉぉ!ってゆーか、なにこれアツっ!!」 ツアー旗を持ったミソラの後ろで、7時間ぶっとおして聞き続けた甲高い声が響き、周囲の気温がさらに少し上昇した気さえした。 「今日はホテルに直行ですから、ホテルのマッサージサービスなどを受けられてはいかがですか? 必要なら、こちらで予約手配しておきますよ」 よくもあんなに穏やかに微笑む事ができるものだ。 しかも、心のこもらない営業スマイルなんかじゃなくて、本当にちゃんとお客様を労わっているように見える。 前回の初添乗でも思ったが、シロイの接客術は普段の無表情とは真反対で、そのプロフェッショナルにはひたすら感心させられてしまう。 「えー、お兄さんが部屋に来て揉んでくれたらぁ、チップはずむしぃ」 むっかーーーー! 何あのうっすい服。 胸元開きすぎじゃない!? それにその声!! 私が声掛けたときと全然トーン違うしっ!!!
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