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③ ホイホイ発動!
「ふあぁぁぁ」
「眠い……」
ツアー4日目。
スリーニャを出発したバスは、エクアト最東端を目指して走っていた。
今は、道中の小都市で昼食兼自由時間の最中だ。
「コリン君には本当に申し訳ないです」
「私は…」
「自業自得」
「自業自得だろ」
「自業自得だな」
ドライバーさんまでっ!!
今朝方の騒動中ずっと眠っていただけのドライバーさんまで、酷い!!
「結果から言えば、寝ていた俺が大正義だろ」
「だ、大正義ってなんですか!私は悪ですか!?」
確かに、居眠り運転なんてされたら一大事なので、ドライバーが寝ていたことについては大正義ではある。
「まぁ、添乗員としては間違った事してないけどな? 結果的に、無駄な労力だったけど」
「そもそも、ナユールさんが自分を捨てた恋人を探しに来てるんじゃないかって、コリン君が言ったんじゃんかーー」
「自分を捨てた恋人とまでは言ってない。男を捜しに来たっていうのは合ってただろ」
「そ、それはそうだけどさ……」
「はは、若者同士すっかり仲良くなったなぁ」
「本当ですね」
むむぅ、シロさんまで。
ミソラはいつもと変わらない様子でしれっとコーヒーを飲んでいるシロイをちょっとだけ睨んだ。
自分だって寝てないのに、なんでそんなに平然としていられるんだか。
「あの男、わざと仲間を魔物に襲わせたんだろ? ちゃんと捕まって良かったよな」
「それは、本当に」
いつもより少し早めに集合場所に現れたキャミ=ナユールから、昨日の顛末の一部を聞いたのはシロイだ。
彼女の許可を得たからと、ミソラたちにも情報を共有してくれた。
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