それは花火とともに

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うわああああああ。 もう、無理。 本当この無自覚無意識美少女は誰だよ!私の恋人だよ!!こんちくしょー!! 「天音、こっち。」 もう我慢できない。 触れたい。抱き締めたい。 なんでピンポイントでついてくるかなっ! 天音の手を引いて、神社から少し離れた茂みに行く。 やはり思った通りだ。 少し外れたら、人なんていない。 「えっと、千景ちゃん?」 「余り刺激しないでって言ったのに。」 「え?え?なんのこ……ンンッ!」 最後まで喋らせなかった。 人がいないって分かった途端、我慢なんか出来るはずもない。 だって目の前に大好きな恋人がいて。 ピンポイントで突いてきて。 な?そうだろ? これで唇を奪わないなんて出来る訳ないだろ? 「ち、千景…ちゃん。ここ、外。」 「構うもんか。」 それに…実は私もちょっと嫉妬していた。 周りの男どもはチラチラと天音を見ていたのだから。 サイドテールの髪型がよく似合う美人な私の恋人。 「ンン……んぁ……。」 ちょっと舌を入れただけでこの反応。 もうヤバすぎる。 ちゅ……ちゅる……。 縁日から離れたところだからキスの音がよくわかる。 それは天音も同じみたいで恥ずかしいと思いながらも答えてくれている。 もっと。 ずっとこのままキスしていたい。 ドォォオン!! 「えっ?」 背後からものすごい音がした。 思わず唇を離して見てみると……。 「綺麗…。」 「あぁ、そうか。花火の時間なんだ。」 大きいものから小さいものまでよく見える。 もしかしたらここは隠れスポットだったのかも。 ………キスを邪魔されたのがちょっと腹立つけど。 「すごいね!いつも音しか聞いてなかったけど、こんなにも豪華だったんだ!」 まぁいっか。 天音がこんなにも嬉しそうに楽しんでいるのだから。 「綺麗な花火に綺麗な恋人。今、最高に幸せだ。」 「な、何言ってるのっ!?」 「思ったことを言っただけ。」 「もぅ。私だって綺麗な花火にカッコいい恋人。幸せなんだよ!」 そりゃ嬉しいね。 不思議だな。 花火なんてあまり綺麗とか思ったことなかったけど、天音が隣にいるだけで綺麗と思える。 このまま見ていたいと。 「ねぇ、天音。」 「なに?」 「好きだ。」 あ、すごく驚いてる。 まぁ無理もないか。私、今までこんなにはっきりと伝えてなかったのかもしれないしね。 でも今はすごく伝えたくなったんだ。 「私も。大好きだよ、千景ちゃん。」 「ねぇ。このまま花火見たらさ、家にいっていい?」 「うん…。私も今日はまだ千景ちゃんと一緒にいたい。」 ドォォオン。 また花火が大きく咲いていた。 イチャイチャしてるのもいいけど、天音とこうやって綺麗なものを見るのもいいな。 私は、花火と天音を見ながら心のなかでそう思ったのだった。
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