個性

2/23
181人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
──少年は、美術部に所属しているらしい。 本人の弁であるから、間違いない。 そう言えば、いつぞやは厨房の様子を熱心にスケッチしていた。 成程と、納得する茉莉。 徐々に暴かれてゆく少年の正体に、何故かワクワクしてしまう。そしていつも、同じ疑問に突き当たるのだ。 ──彼は、一体何者なのか?? 相変わらず、まだ名前も聞き出せずにいる。 すっかり機を逸してしまった為、最早どのタイミングで名前を聞けば良いのかも解らない。 そうしている間に、彼はすずかぜ食堂の肉メニューを全制覇(コンプリート)してしまった。只今、二巡目に挑戦中である。 夏休みも終わり、二学期に突入しても、相変わらず毎週月水金と、無欠席で通って来る少年を──茉莉は、尊敬を込めて『師匠』と呼んでいた(心の中で)。 そして、今。 茉莉は、『師匠』の忠言(アドバイス)に従って、『カツ丼』をマスターしようと努力を続けている。
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!