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──少年は、美術部に所属しているらしい。
本人の弁であるから、間違いない。
そう言えば、いつぞやは厨房の様子を熱心にスケッチしていた。
成程と、納得する茉莉。
徐々に暴かれてゆく少年の正体に、何故かワクワクしてしまう。そしていつも、同じ疑問に突き当たるのだ。
──彼は、一体何者なのか??
相変わらず、まだ名前も聞き出せずにいる。
すっかり機を逸してしまった為、最早どのタイミングで名前を聞けば良いのかも解らない。
そうしている間に、彼はすずかぜ食堂の肉メニューを全制覇してしまった。只今、二巡目に挑戦中である。
夏休みも終わり、二学期に突入しても、相変わらず毎週月水金と、無欠席で通って来る少年を──茉莉は、尊敬を込めて『師匠』と呼んでいた(心の中で)。
そして、今。
茉莉は、『師匠』の忠言に従って、『カツ丼』をマスターしようと努力を続けている。
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