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次の日も…また次の日も、次の日も。
茉莉は、ポークソテーを完全マスターすべく、最後の練習に臨んでいた。材料費も底を尽き、これが最後の挑戦である。
これまでに、何度も失敗して来た焼き加減──だが。作り続ける内に、コツの様なものが掴めてきた(様な気がする)。
──少年との約束の日は、いよいよ明日に迫っていた。決戦は日曜日だ。
何としても、今日こそは、完成させねばならぬ。自分が作ったポークソテーを、自分の胃袋に納めるという孤独な作業にも、そろそろ限界が近付いていた。
「よし、やるか!!」
フゥと息を吐いて、冷蔵庫から豚ロース肉を取り出す。筋切りをして、塩を振り、バットに置いて暫し放置。
待ち時間にソースの材料を揃え、キャベツを千切りして、皿に盛り付ける。肉の表面が、うっすら潤んだところを見計らって、フライパンに油を引く。
順調だ。完璧な手順だ。
だが、高を括ってはならない。問題は、ここからなのだ。
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