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為せば成る
暑さが徐々に厳しくなり──
すずかぜ食堂のメニュー表にも、『夏限定』の文字が躍るようになった。
本日の最高気温、35℃。
茹だるような真夏日だ。
軒先に吊るした風鈴が、熱風に揺れて『ちりーん』と悲鳴を上げている。
茉莉は、エアコンの効きが悪い『すずかぜ食堂』の厨房で、仕込みの手伝いをしていた。
忙しく手を動かしながら考えるのは、すっかり常連客の仲間入りをした、あの眼鏡の男子高校生の事である。
(今日は、何を注文するのかなー…)
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