第一語り

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「名無し村だぁ」 小夜は雲海の話しを思い出し、表情を硬直させた。 雲海さんの言っていた村と同じだ!!"神隠し"本当にあるんだろうか!? 「そうだったね、ゴメン」 小夜は苦笑しながら翔子に謝った。 「小夜さぁ、7年ぶりにこっちへ来ただろ?忘れてもしょうがねぇ」 翔子の父、武男(たけお)が小夜の肩を持つ。 「まぁ、そんだぁねぇ。小夜ちゃんさぁ、小学校の時以来だし、村の名前が無かったから思い出せないのもあたりめぇだぁ」 そうだった、私が小学校6年生の夏休みに来て以来の里帰りだ。 子供の頃、よく翔子ちゃんや近所の子供達と裏山へ登っては、カブトムシなどを捕まえに行っていたものだ。 今ではあの頃が懐かしい・・・。 小夜達を乗せたプリウスは、鶴亀市から二時間かけて山間にある名無し村へ到着した。 村の通りにはほとんど店はなく、唯一コンビニの"ポプラ"だけが営業していた。 そのポプラの横にある公民館で、夜親戚皆んなが集まるという。 それから間もなく翔子の自宅に到着すると、小夜は車から荷物を下ろし、客間のお座敷に案内された。
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