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その夜、小夜は宴会に戻り夜も老けて来た頃、二人は途中で翔子の家へ帰る事にした。
「小夜ちゃんさぁ、中々戻って来ねぇから心配したぁ」
「ゴメンね、翔子ちゃん。何か体調がすぐれなくて。疲れもあるのかも」
二人は街灯の少ない薄暗い道を、ゆっくりと並んで帰る。
「家さ、帰ったら、お布団敷いてあるから、ゆっくり休んでなや」
「ありがとう、翔子ちゃん」
こうやって翔子ちゃんと歩いてると、本当に"神隠し"や"かまいたちの風"みたいな事が村で起きてるのか、分からなくなる。
全ては雲海さんや健太郎から聞いた話しで、村の逸話みたいなものを感じる。
村人達が逸話を建前に、本当に私を拉致したりするのだろうか?
私は夢でも見ている気分だった。
「小夜ちゃん、顔色もあまり良くねぇな。あまり無理しねぇで、体調悪かったら明日にでも帰ってええから」
「大丈夫!今晩、眠れば明日はきっと元気になるよ」
私は翔子ちゃんを気遣い、元気のある振りを見せた。
内心、本当に帰るかどうか悩んではいるのだが。
しばらくして、翔子ちゃんの自宅に到着した。
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