12人が本棚に入れています
本棚に追加
それからお風呂に入り私は早めの就寝についた。
本来なら久しぶりに会った翔子ちゃんといろんな話しをして、夜更かしを楽しむつもりだったのだが、得体の知れない不安にそういう元気すら奪われていた。
その晩、疲れもあったせいか、私は落ちる様に眠りについた。
そして夜中の2時。
パッと目が覚めると私はしばらく布団の中で天井を見上げていた。
しばらくして、木のきしむ様な物音が耳元に響いてくる。
木造建ての家にはよくある現象で、気温差でそういうラップ音が鳴るのは知っていた。
大学の民俗学の講義で、知り得た情報なのだが。
"ギギィーッ!"とまた音がして私は、座敷戸の方へ目を向ける。
座敷戸は磨りガラスになっていて、廊下の明かりや人影が見える様に作られていた。
が、逆にそれが私を脅かす事になった。
「誰!?」
そこに人影が立っていたのだ。
女性のシルエットに両手には草刈り鎌、明らかに不自然な人影である。
「おばさんですか!?」
私は小声で廊下に立っている人影に声をかけるのだが、まったくリアクションがなく動く様子もない。
「翔子ちゃん!!?」
私は布団から出ると、ゆっくり廊下の方へ近寄り立ち止まった。
そして恐怖に脅えながらも座敷戸に手をかける。
最初のコメントを投稿しよう!