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まだ眩しいくらいの西日が、私の桃色の頬をつたう冷んやりとした涙のカケラを輝かせる。
立ち去ろうとした時、グラウンドを見つめたまま先輩が、さっきより声を鎮めて言った。
「今日は本当にごめん。あんなに応援してくれたのに結果を出すことができな
くて。」
「えっ⁉︎」
すると、 突然大きな声を出した私の方に先輩は向きを変えると ギュッ と抱きしめてきた。
そして私から身を離すと、少し赤い顔でこう言った。
「ごめん。即興ドッキリ。
告白は僕から言いたかったんだけど、先言われちゃって。
ちょっと勘違いさせようとね。」
「先輩!」
私が怒ると、先輩が無邪気に笑い、つられて私も笑顔になった。
「「好きです」」
ふたりの声が重なり、私の目には涙がたまった。頬をつたう涙は、冷んやりから、常温に変わった。
「同時に告ったってことでいいよね。」
「もう!」
ふたりの間に笑い声がふたたび聞こえた時、空を夕焼けが綺麗に彩っていた。
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