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ーー
藤君と付き合って、もう一ヶ月が経った。すっかり夏はどこかに消えて、もう地面には赤や黄色の葉っぱが落ちてる。
「映画、よかったね」
「うん!最後ジーンとしちゃった」
付き合って初めての休日デート。私達はしっかり手を繋いで、さっき見た映画の感想を言い合う。
手を繋ぐって最初はソワソワして落ち着かなかったけど、一ヶ月経った今でもやっぱりまだ落ち着かない。
「小夏ちゃん、お腹空いた?」
「そうだねー、ちょっと空いたかも」
夜ご飯にはまだ早い気もするけど、集中して映画を観たせいか何とく小腹が減ったような気もする。
「藤君は?」
そう問いかけて彼の顔を見れば、ちょっと不満げ。
「あ…えっと」
モジモジしながら、上目遣いに彼を見つめた。
「諒太郎、君」
「うん」
嬉しそうにフワッと笑うから、全身の毛穴がブワッと開いた気がした。藤…諒太郎君は素直でいちいち可愛いから、心臓がもたない。
「カフェでも寄ろうか」
「うん!」
カフェ、そう聞いて頭に色んなスイーツが浮かんだ。パンケーキ食べたいけど、普通のケーキもいいなぁ。あ、でもパフェも食べたいし…
「小夏ちゃん、食べたいもの考えてるでしょ」
「あれ、顔に出てた?」
「思いっきり」
諒太郎君はそう言って笑うと、繋いだ手はそのままに身を屈めてチュッと私の唇に一瞬キスを落とす。それから、
「可愛い」
って言葉と共に恥ずかしそうに笑った。
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