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華の次に、私は陽子にも報告した。陽子さんは私をギューッと抱き締めて、ニコニコしながら喜んでくれて。
私はまだまだ子供だけど、陽子さんが疲れたり悩んだりしてる時には少しでも力になれたらなって思う。
毎日お母さんの仏壇に手を合わせてくれる陽子さんにも、きっと思うところはあるんだろうけど。お父さんや私やこの家は今、陽子さんの笑顔に支えられてる。
「颯君」
朝、朝練で私より早く家を出ていく颯君に笑顔で手を振った。
「いってらっしゃい」
「行ってきます」
颯君は今日も、キラキラ眩しい。
私の部屋で話したあの日以来、颯君がますます笑顔を見せてくれるようになった気がして凄く嬉しい。
家族家族って颯君に強要するつもりはないけど、こうやって少しずつ絆が強くなっていけばいいなって思ってる。
颯君のこと、大好きだから。
「ご馳走様でした」
久しぶりに、白石さんがお店に食べにきた。相変わらず夜でもピシッとしてて、一見近寄りがたい。でも実は不器用で優しいって知ってるから全然怖く見えないんだよね。
「またお願いします」
お題をもらってニコッと微笑めば、白石さんも少しだけ表情を和らげた。
「この前はホントに、ありがとうございました」
「その様子だと解決したみたいですね」
「はい!白石さんが励ましてくれたおかげです」
「俺は何もしてないけど、そう言ってくれてありがとう」
白石さんは眩しそうに、私を見つめた。
「君はどんどん、前へ進んでいくんだな」
「え?」
「俺も頑張らないと」
「偉そうに言えないけど、白石さんは頑張ってると思います」
「ありがとう」
「お気を付けて」
ペコリと頭を下げると、白石さんは軽く手を上げて帰っていった。
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