ヤバイ時間

4/8
前へ
/186ページ
次へ
感謝心が半減した私は 恩人の観察のために一歩後方に下がった てか・・・まだ揺れてるし 若干イラつきながら 頭の先からゆるりと視線を滑らせば 後方に流した黒髪は清潔感が溢れている キッチリ結ばれたネクタイ 少しもヨレていない濃紺のスーツ ピカピカに磨かれた革靴は 魔女か?いや男性だから魔王? 魔王って・・・違うか あっ! “魔法使い”の靴! それだ! 革靴は魔法使いのように先が尖っている うんうん 顔は・・・ 半分しか見えない顔を見ようと 視線を上げると 「・・・っ!」 いつのまにか覆っていた手を外し こちらを見ていた男性と目が合った ・・・ど、どうしよう 助けてもらう→お礼を言う→笑われる →イラつく→観察する→真顔 ・・・怖っ 「川喜田琴さんですね」 お? 「・・・は、い?」 「何故疑問系?」 「初対面の男性が自分の名前を言うホラー?」 「な、ブッ、ハハハ」 また吹き出して笑い始めた えっと、とりあえず 殴って良いですか? それより 怖いので移動しよう 未だ笑い続ける失礼さんを放置し 時計台の反対側へフェイドアウトしようとした瞬間 「わっ」 失礼さんの手が私の腕を掴んだ 「な、なに?なんですかっ?」 駅前はなんて怖い場所だろう 2回もタイプの違うのに絡まれ 幼気な中学生の精神はボロボロだ 離してと腕を振る私の耳に飛び込んで来たのは 「お迎えに参りました」 最初に聞いたより もっと低くて威圧感のある声だった
/186ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7725人が本棚に入れています
本棚に追加