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「姐さんの娘さんである“琴”さん
これから堂本で命に代えても護る大切なお嬢さんだ」
・・・命?
・・・護る?
・・・お嬢さん?
おいおい大ごとになってるじゃん
静かに、目立たず
人並みに暮らしてきたはずなのに
イキナリ何を言い出すのか?
驚いて緒方さんを見上げると
「琴さん、挨拶お願いします」
チーム厳ついの班長さん的な
ごっつい厳つい緒方さんが笑っていた
ガーーーン
私の馬鹿っ!なんで頭を上げたっ
俯きかげんの状態をウッカリ
解いた自分に激しく後悔しながら
「・・・琴です」
俯いたまま更に頭を下げた
あんなに脳内で練習した名前から
苗字を外したのは
再婚する母の顔を立てただけ
自己紹介に必須の
“よろしく”を外したのは
よろしくしたくないから・・・
私の少しの反抗心を
「声が小せぇ!」
粉々にしたのは
遅れてきたアキさん
「・・・ヒっ」
親子揃ってよく通る重低音に
肩がビクッと震えた
「亜樹!」
そのアキさんを制する
スーパー重低音の理樹さん
そして・・・
助けられたと思ったのもつかの間
「琴ちゃん、これからこいつら命に代えて琴ちゃんを護るんだ
顔を上げて見せてやってくれ
それが・・・こいつらへの礼儀だ」
連携プレーのように
トドメを刺したのは
熊だった
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