末っ子誕生

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「どうした、顔赤いぞ?」 泥の付いた靴下を持ったまま こちらを見上げる理樹さんの顔が近くて仰け反った 「あ、そ、その、えっと」 恐ろしく顔の整った理樹さんが 一日履き古した上に 泥まで付けた靴下を跪いて脱がせた ってことが恥ずかしいんですーーー とも言えず 口籠もる私に向かって フッと口角を上げた理樹さんは 「アイツらにやられて泥々だろ 風呂に入れ、着替えは吏美さんに言っておく」 靴下をポンとカゴに投げ入れると 頭をクシャと撫でて脱衣所を出て行った 「フゥ」 肩の力を抜いて立ち上がると 大きな鏡に映る自分が見えた 3匹のドーベルマンに散々乗っかられたお陰で 靴下よりセーラー服の方が泥だらけ 「理樹さんに泥ついたよね」 カッコ良いスーツを思い浮かべて またひとつため息を吐き出した とりあえずお風呂に入ろう 靴下の入っているカゴに 乱暴に脱ぎ捨てると お風呂に続くスライドドアを開いた 「スゴーーーイ」 やっぱ旅館?そうなの? 壁面にいくつもあるシャワーブース 大きな窓に面してそれはそれは大きなお風呂 ブクブクしたり・・・ ザァザァ流れてたり・・・ 「何ココーーー」 テンションマックスで 足を踏み入れた [無愛想]なんて優羽に言われ続けた私が 鼻歌まで歌う始末 「ふん〜ふ〜ふ〜ん♪」 ってなんの歌だっけ? 幼気な中学生よ? こんなテンションマックスなのに 口ずさんだのは 何故か・・・ 校歌 ブッ
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