非日常始まる

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手のひらの中で光る シルバーネックレスを見ながら クスッと笑った 熊も理樹さんも亜樹さんも 表現方法は違うけれど 家族になろうと歩み寄ってくれている 大学へ進学したら 一人暮らしすれば良いから 高校三年間 「末っ子をやってやろうじゃない」 新たな決意を胸に 部屋を出た ・・・・・・ ・・・ ・ 勢いで出てきた部屋から かれこれ歩いた気がするのに 誰一人すれ違わないのはナゼ? あれだけ居たんだもの 誰かに聞けば良い!なんて 安易に考えていた自分が恨めしい ・・・お腹空いた ・・・学校遅れちゃう ・・・てか、今何時? 焦る気持ちが少し早足になり 勢いよく曲がった先で 誰かとぶつかった 「ブッ」 弾みで尻餅をついて転んだ私 「痛っ」 鼻が折れ・・・てないな ぶつけた鼻を覆った手が グイッと引かれて立ち上がった 「ほら」 「・・・あ」 見上げた先には 少し顔を反らした亜樹さんが居た 「廊下は走んな」 「あ、はい」 小学生並みのお叱りを受けて 恥ずかしさで顔に熱が集まる 「お、お前、赤いぞ熱か?」 とっ散らかった亜樹さんは 「キャ」 凄い勢いで私を抱き上げると 廊下を走るなと言った 舌の根も乾かないうちに走り出した 「キャ」 上下に揺れる体勢が怖くて 亜樹さんの首にしがみつく 「すぐだからな、待ってろ」 よくわからないまま 連れて来られたのは 「琴ちゃん、おはよう」 大宴会場で朝食を食べる 朝から見目麗しい母の元だった
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