非日常始まる

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「り、理樹さん?」 「ん?」 「此処は困ります」 「どうして?学校間違えたか?」 「いいえ、合ってます・・・ じゃなくて・・・正門前は困ります」 「え?じゃあ中に入ろうか?」 「いいえーーーーっ。こ、ここで降りますっ」 かれこれ5分も粘ったけれど 全く耳を傾けてはくれない理樹さんに 根負けした私は 登校ピークの正門前に止められた 真っ赤なスポーツカーから 首が落ちるぞ!と突っ込まれそうな程 俯いて降りた 途端にざわつくギャラリー 負けるもんかと 正面切って人並みを抜けると 靴箱の前にニヤニヤした優羽が待っていた 「おはよう、琴」 「はよ」 通常、通常・・・頑張れ私 おまじないをかける私の手を引いた優羽は 昨日に続く第2弾 空き教室に連れ込んだ 「さぁ、琴ちゃん 昨日からスマホを見ない理由と あの赤い車のイケメンまで全部吐いてもらおうか」 今日はてっぺんでお団子にした髪と 両方のうなじ辺りから 細い三つ編みが下がった可愛い髪型の優羽 プルンとした唇は 今朝は薄いピンクのキラキラがついていて 可愛さ5割増し なのに・・・ その唇から溢れるのは 「早く言わないとお昼も抜きよ」 恐ろしい言葉ばかりだった
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