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「ハァ、言っちゃった」
そう言って緩めた頬を赤く染めた
「・・・」
私に言ったことでの達成感なのか漸く反応した母は
ギュッと握ったままの私の手を離した
「それでね?今夜、琴ちゃんに会って貰おうと思って食事会設定したの、だから・・・18時に駅前で待ち合わせね?」
更に一気に吐き出した母に返事もしないまま部屋に戻った
・・・再婚
頭の中を二文字がグルグル回る
卒業間近の三月一日に
特大の告白をした母のことを思いながら
セーラー服に着替えると
鞄を持って家を飛び出した
エレベーターを待っていられなくて
6階から一気に階段を駆け下りる
マンション前のベンチに
友達の姿を見つけると
「・・・ハァ」
ゆっくり息を吐き出した
「琴、おはよ」
「はよ」
「どうした?なんか・・・焦ってない?」
そう言って顔を覗き込んできたのは
親友の内田優羽
美少女戦士のようなツインテールにセーラー服姿の彼女は歩くだけで周りの視線を釘付けにする
深めのブラウンの髪は毎日結び方が違っていて
透き通るようなキメの細かい肌に
大きな瞳もピンクの頬も
プルンとした小さな赤い唇も完璧
幼稚園の年少組さんの時からの大親友だ
「んで?」
並んで歩きながら
何度も視線を合わせる優羽
「・・・再婚だって」
「え?えっ?吏美さん?」
驚いた顔がまた可愛い・・・じゃなくて
「ま、時期を考えてるってことか」
全てを納得したかのような優羽の頷きを見ながら
・・・時期ってなんだ?
再婚に加えて時期も脳内を回り始めた
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