これは譲れませんっ

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バタバタ・・・ トトトトトト・・・ テンションマックスのまま 走り込んだのは 「理樹さんっ」 隣の理樹さんの部屋 同じ和風の造りの部屋に 黒で統一された理樹さんにピッタリの雰囲気のそこにしばし見惚れる 大きな水槽には 大きな熱帯魚が1匹優雅に泳いでいる 何もかもイケメン じゃなくて・・・ 黒いソファに座って脚を組む理樹さんに 「あの・・・クローゼットの服」 興奮気味の私の脳内を理解してくれたのか 「好みが分からなかったから適当に揃えてみた 気に入らなければ次の休みに買いに出かけよう」 欲しい答えをくれた 「遠慮しなくて良いから着替えておいで」 柔らかく微笑んだ理樹さんに 「・・・はい」 今度は静かに襖を閉めた 部屋に戻るなり 声を出さずに悲鳴を上げる 興奮したとはいえ 理樹さんの部屋をノックもなしに 開けるなんてガサツな子供だ 少しの反省の後 またすぐ浮上した私は クローゼットの中で 何度も声無き悲鳴を上げた 何度も何度も着ては脱ぎを繰り返し 昨日の夕方とは違う悩みに直面していた ・・・どれも着たい 女子中学生の好みを把握しているのか? 乙女心をくすぐる洋服達に 興奮が収まらない でも・・・このままだと 理樹さんを待たせてしまう 何度目かの葛藤の末 白いニットのセーターと水色ベースのチェックのスカートに落ち着いた私は 今度は静かに理樹さんの部屋の襖をノックした
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