残念なお知らせ

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side 優羽 登校早々に空き教室に連れ込んだ親友を目の前にして 腰に当てた手が固まった 私の大切な大切な親友の川喜田琴(かわきた こと) 友達になったのは幼稚園だった 私が気づいた時にはすでに琴にはお母さんしかいなかったと思う 看護師のお母さんの手を煩わせないように 何でも出来ちゃうスーパー中学生 そう・・・ お母さんを煩わせないように そればかりを気にし過ぎたのか? 琴は感情を表に出すことも 想いを声に出して伝えることも不得意 良く言えば妄想少女? 悪く言えば無愛想? 長く一緒に居るから私は琴のことがなんでもわかるけど 他の人からすれば 何を考えてるのかわからない 表情が読めない 良く言えばクールビューティ? 悪く言えば無愛想? あ、2回も言っちゃった 艶々の黒髪に黒眼の大きな琴は 小学生の頃から街を歩けばよく声を掛けられていた 学校でも友達になりたいと すぐに囲まれるけれど 会話が続かないから いつのまにか一人残される それを全く気にしていないから ある意味幸せなんだと思う その 2回も言った[無愛想]な琴の 焦った顔を初めて見たのだ 授業なんて受けている場合じゃない! 「時期って?」 図らずも上目遣いの琴に ドキドキする気分を味わいながら 人差し指をピンと立てると 「卒業のタイミングでお母さんが再婚するなら、高校入学と同時に苗字を変えられるじゃん」 「・・・あっ」 そうかって思った顔の琴 もぉ〜!私以外だとわかんないからねっ! 少しの優越感も 「んで?なんで今朝突然そんな話になった訳?」 一言に反応してたら 話が先に進まないと気持ちを切り替える 「・・・そうだ」 私を見上げる琴の瞳が不安で揺れ始めた 「ん?」 いつもなら先読みして私が話すところを グッと堪えて琴が応えてくれるのを待つ 「・・・今日・・・食事会」 そう言い切ると パチパチと二回瞬きをした ・・・可愛い・・・じゃなくて 「・・・そっか今日なのね いや、急じゃない?急よね?もしかして県外へ引っ越しとか?高校も別のところかもよ?」 思ったことが口を突いて出る私は 気づけば琴の不安を煽るようなことを並べていた 「・・・どうしよ」 「あ、琴、嘘、そんな訳ないよ」 「・・・」 「だって高校も一緒に行くんだもん」 そうだ私と琴は同じ高校を受験した もちろん合格通知も届いている 「・・・急に」 口数が少なくても単語で話すことなど無かった琴の声が 私の首も絞める なんだか急に力が抜けて 琴の座る隣の席に腰掛けた 「・・・優羽」 「ん?」 「県外なら一人暮らしで此処に残るよ」 この短い間に何があったのか? ちゃんとした文章が聞こえた 「琴?」 大丈夫?と続けようとしたのに こちらを向いた琴の瞳には 強い意志が見えていて 思い付きで言った訳じゃないと 飲み込んだ side out
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