マウント女の戯言

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全社会が始まった。山やんには弁解したいと思っていたけど、隣には樹里ちゃんがいる。 そういえば、坂根が、奥さんと山やんが仲良いって言ってたっけ……。山やん、1年目のときは、誰からも相手にされてなかったのに……。今は逆転している。 少しずつ……。 少しずつ。私の中に黒いなにかが溢れてくるのがわかる。モヤモヤと心の中を支配していく。 「では、何人かに最近の成功を話してもらいます」 何人かって、結局、支店長にする話でしょ。いつもやっていることよね。 モヤモヤを抱えながら、心のなかで悪態をつく。支店長たちの話なんてありきたりすぎて、つまらないのに。 二人くらいあまり知らない支店長の退屈な話を聞いた。ほんと、営業なのに、なんでこんなトークが下手くそなんだろう? 「じゃあ、元気印、山崎さん」 次に指されたのは、山やんだった。 「はい」 山やんが立ち上がった。みんな驚いている表情だ。 え、どういうこと? 支店長でも何でもない山やんが立っている。なんで……。 でも、営業成績を上げているとだけあって、流暢に上手く話していた。結局山やんの話が一番拍手が大きかった。隣で樹里ちゃんが、ニヤニヤしてる。山やんは樹里ちゃんを見て、苦笑した。 本当に仲がいいみたいだ。私には今、ああやって笑い合える人はいない。 いいな。女友達をつくりたい。そんな風に思っていると、司会の営業部長金城さんが、山やんを見た。
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