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「それから、山崎さん、結婚するそうで。おめでとー!!」
明るいトーンの金城さんは、最初からこれを言うのを準備していたようだ。
……え?
「あ、ありがとうございます! て、照れるんだけど……!」
そんな返答に爆笑されながら、山やんの周りは発表よりも大きい拍手で包まれた。数年前に私が浴びていた脚光を、あの子が浴びている。
てか、結婚するの……?
あの長年付き合っている人と?
なにこれ。本当につまらない。
「ねえ、松原さんの表情凍ってない?」
「え? 頭しか見えないけど」
「なんか、青ざめてるよ一人だけ」
「うそ。まさか、山崎さんより先に自分が結婚できると思ってたわけ……!? 笑うわー」
心のなかの何かが壊れた。
私は、彼女に勝っていると思いたかった。
でも、結局は全て彼女が勝っていた。仕事でも、女としても。彼女は見事に、仕事と女を使い分けていたんだ。
会が終わった。そそくさと立ち上がり、会場を後にした。
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