マウント女の戯言

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あーあ。一人は寂しい。 このだだっ広い空間。これから全社会が始まろうとしている空間に、一人、自分が浮いているのを感じた。周りは始まるまで和気あいあいと雑談し、孤立しているのは私だけ。 寂しい……。 そう思い始めたのはいつの頃だろうか。 ──1年目の私は自分で言うのもなんだけど、とにかく輝いていた。 絵を売る仕事は、とても楽しくて、人と人との関係を絵を通してつなげて、仲介する役目を私はとても楽しく思っていた。 よくあるベンチャー企業から発展してきた会社ではあるけど、都内にいくつか支店がある。 そこで絵を売りたい人を集う。いくつか協会とも提携していて、そこで新人賞になった人の作品からベテランさんの作品まで幅広く売っているわけだ。 「花パンすごい!!」 松原花香(まつばらはなか)。だから、花パン。 絵もよく売れたし、新卒賞というのがあって、それももらったくらいだ。ちなみに1年目から営業に入る。営業成績がよければ、給与もちゃんともらえるし、その上、新卒賞でプラスお金をもらえた。 注目を浴びた私は、色んな所に引っ張りだこだ。飲み会はしょっちゅうだし、私のことを美人と言って好意を寄せてくれる人もいるし、とにかく最高だ。 私が一番。 私が中心で世界が回っている。
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