マウント女の戯言

「山崎さんって普段どんな子なの？ すげぇ、今、できるらしいから知りたいんだけど」

そんなの私が知りたい。

どうしてあんな普通の子が……。

レモンサワーの入ったグラスをぎゅっと握る。氷が沢山入ってるのに冷たさは感じられない。逆に額から汗が一筋流れた。

「あまり知らないんです。同期の飲み会にも来ないですし……」
「ああ、そうなのか。あのハキハキとした元気な声と笑顔だったら、誰でも買いたくなるよな……」
「どうしたんですか？ 急に」
「あ、ちょっと、仕事のことで」

にこりと笑って誤魔化され、彼は、どこかへ行った。

え、それだけ？

おかしい。去年は神奈川の支店の話とか色々してくれたのに……。拍子抜けしてしまった。というか、私の話はまるで聞いてくれなかった。