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「いやいや。1年目だったから必死だったよ。だって、近くにすごい人いるしさ」
苦笑しながら、私を見る山やんに、目を見開いた。
「私……?」
「そうだよ。めっちゃ尊敬してるからさ」
思ってもみなかった返しに、拍子抜けする。最近拍子抜けしてばかりだな、と思いつつ、山やんを見る目が少し変わる。
思ってた人物像と違う……?
この子、めちゃくちゃいい子なんじゃないの?
ドキドキドキ。私の心が踊り始める。
「そんなに?」
「うん。うちの支店長からもよく聞いていたしね。ほら、坂根さんと仲良いじゃん? 」
これこれこれ! 私が求めていたものは……!
なんでこの子がほしいものをくれるのかわからないけど、とにかくすごいと思われていることがわかった。
警戒を解こう。なんか自分のやっていることがアホらしい。
でも、この子は注目されている。自分の方が上だとは思ってほしくない。だって、私の方がすごいんだから。私が一番で、私が中心。
「ねぇ、付き合ってる人っている?」
男の数なら負けない。
この手の子は恋愛方面は疎いはずだ。仕事に打ち込めるとするなら、彼氏はいないだろう。余裕がなかったと言っていたから尚更そう思う。
私は、仕事も恋愛も両立できるのだ。そこで違いをはっきりさせたい。
現に今、私はいくつかのエリアをまとめている営業部長と付き合っている。それを彼女も知っているはずだ。
「いるよ?」
簡単に答えが出た。
え、いるの……?
仕事に打ち込んで、余裕がないのに?
というか、仕事優先にするタイプぽいのに?
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