2021.3.4(木)

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2021.3.4(木)

 長らく、ネットに小説を発表していなかったのだけれど(そして、ほとんど書いてもいなかった)、また僅かずつでも続けていきたいと思う。せっかくなので、この日記も再開したい。当初は、時の風が吹けばあっという間に片々として手の届かぬ所へ散っていくような小さな話を書き留めるつもりだった。ただ、それではあまりにも散漫になり過ぎるので、今回から、主に「犬と散歩」をしつつ考えた、「小説についての話」に限定したい。では、早速始めます。  今、小説について考えている。「うちに○○がいます」という妄想コンテストに出す一編。あと十日ほどしかないので間に合うのか不安はある。僕は「ああ、これについてぜひとも書きたい!」という滾る欲望のようなものがない。では、なぜ小説という時間のかかるものをわざわざ書いているのかと問われると、途端に何もかも頼りなくなって、俯いてしまう。おそらく根本にあるのは「憧れ」なのだ。幼少期から高校生くらいまでの間に読んだ小説に胸を躍らせたときに、何の塩梅でか、「ああ、自分もこんな小説を書きたい」と思い込んでしまったのだ。そこで「こんな小説をもっと読みたい」とか「この感動を誰かと語り合いたい」とか、他にも作品が与えてくれた衝撃・エネルギーの放出の仕方はあっただろうに、なぜか「これやりたい。書いてみたい」と感じたのだ。  生来ぼんやりおり、頭の回路が稀にしか通じないような有様なのだけれど、その時の思い込みを胸に未だに小説を書いている。今回のコンテスト応募用作品も、あちこち断線しかかっている回路を必死でつなぎ合わせて、時折、パッと点いた電灯が照らしだす、一瞬の場面や一行の言葉を逃さないように書き留め、その断片を並べ、繋いだものになりそうだ。
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