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2階建てのためだろうか、思った以上にバスは揺れたので、ダブリンの市街地にようやくたどり着くころには、睡眠不足もあり、僕はもうすっかり酔ってしまった。それでも、降り立った瞬間に、初めて見る海外の街に圧倒されたのだった。
バスを降りたところに広がっている大通りには、大きな店が所狭しと両側に立ち並んでいた。様々な色の店が立ち並ぶ様子は、まるでお祭りみたいだった。中には、世界史の教科書でみた神殿みたいな形をした建物もある。道の真ん中には名前も知らない誰か偉い人の銅像が立ち並んでいた。その両側を車やバス、路面電車が、ガタガタとその体躯を揺らしながら走っている。道の伸びた先には、雲に届きそうなほど高い銀の棒が、曇天の空を貫いていた。そして、道を行きかう人は、当然だが皆自分とは違う顔立ちをしている。
「うおお……皆外国人だ……変な感じだね。」
僕は彼らの顔をまじまじと見ながらそう言った。すると、ゴッピーはこちらをくるっと向いて言った。
「いや、つーか、俺たちが外国人なんだよ。変な奴らだって思われてるのは俺らな。」
確かにその通りだ、と僕は納得した。ゴッピーは昔から、たまにこうやって核心を突くようなことを言うのだった。
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