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アルチュール・ランボー『永遠』
ランボーというと、象徴的すぎてなにを言っているかわからない詩が多く、またキリスト教の知識がないとメタファーを読み取れないものも多い。『永遠』は意味などわからなくても情景がはっきりと思い浮かぶから、とっつきやすいんじゃないかな。有名だし。AKB48グループ出演のドラマ『マジすか学園』にも出てくるし。
この詩は『忍耐の祭』という韻文の組詩のうちの一編なのだけど、後に書かれた散文詩集『地獄の季節』の中にも挿入されていて。でもね、まったく同じではなくて少し変わってるの。
ゴダール監督の映画『気狂いピエロ』のラストにもこの詩が引用されているのだけど、これは『忍耐の祭』のほうらしい。2016年に公開されたデジタルリマスター版のパンフレットに、新訳を手掛けた寺尾次郎が翻訳中に1872年に書かれたほうだと気づいてびっくりしたというエピソードが載っていたりする。(『忍耐の祭』は1872年、『地獄の季節』はその翌年に書かれた。)
詩の内容は、太陽が海に溶けていくようすを見て、世間の煩わしさや虚しさ、義務や道徳から逃れて、永遠を感じる……といったところかな。太陽と海というのは恋人のイメージ。(読者としては、あえてランボー自身とその恋人とを想起しなくてもいい。)
世間の煩わしさどうこうっていうのは、組詩『忍耐の祭』を通して読めばよりわかると思う。デカダンスですよ、デカダンス。
え、下手な解説ではなく、ちゃんと「感想」文を書けって?
……もうさ、うっとりするね。としか、言いようがなくない?
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