嫌いな私を変える

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毎朝の憂鬱は自分の顔を鏡で見なくてはいけない事だ。朝の6時に起きてお決まりの手順を踏んで洗面所へ行くと脂肪で膨れたニキビ面の顔に嫌気がさす。低い鼻、小さな目、分厚い唇、どうして両親はこんな顔に産んだのだろう。香奈は鏡を叩き割りたい衝動に駆られる。 顔を洗い、朝御飯を食べて今働いているアイスクリームの製造工場へ仕事に出掛けた。朝の8時30分から夕方の5時30分まで、アイスクリームの箱詰めだとか検品を行っている。高校を出てから3年間、転職を繰り返してここに辿りついた。この工場は女性の多い職場で仲良しグループが幾つかに別れている。しかし香奈はそれの何処にも属さない、いつも一人ぼっちだ。小さな頃からいじめを受けて育っているので交友関係を上手く築けないのである。 いじめの原因はやはり香奈の顔だろう。醜い顔。自分だって嫌になる。 「高田さん、高田香奈さん、明日親睦会があるんだって。主席する?」 同期入社の北林さんが食堂でお昼を食べている時に話しかけてきた。 「親睦会?私も行っていいの?」 「うん、課長が全員に声を掛けろって言うんだもの」 北林さんはそう言って渋い顔をする。香奈に来てほしくないんだろう。場が白けるのは想像するに難くない。それくらい解っている。 「私、お祖母ちゃんの介護があるもの」 「そうだよねー。高田さんって、行事には参加しないものね」 北林さんは、ホッとして感じで去っていった。
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