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「でも俺は、時々ああいうのが羨ましい」
「衝動恋愛ですか?」
「そう。いいじゃん、嵐みたいで。好きな時に好きだ!って言えて、別れたくなったら別れて!って言えて」
「時間の無駄じゃないんですか?」
「人生の大半は無駄な時間を過ごしてるよ。それとも、今この瞬間も何か意味があると思ってる?」
思ってます、なんて到底言えなかった。
だって私は、日々をただ消耗しているのだから。
思っていません、なんて到底言えなかった。
だって私が、つまらない人間だとバレてしまいそうだから。
「また、笑ってる」
「笑うしかないじゃないですか」
「言えばいいじゃん」
「何を」
「本音を」
「それこそ、無駄な時間ですよ」
目を逸らして席を立つ。
用事があったわけじゃないけど、目の前にいるのが嫌だった。
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