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私は、恋愛という言葉が嫌いだった。
なぜなら、不確定だからだ。
気持ち、という不確かなものに頼り、信じることがどうしても怖かった。
こういう話をするとこぞって、
「男に嫌なことされたの?」
「嫌な思い出でもあるの?」
「失恋の痛みは新しい恋で拭わないと」
なんて言われる。
別に男に嫌なことをされたわけじゃないし、思い出もない。
失恋の痛みなんて、とっくの昔に薄れている。
あれ、そもそも失恋っていつしたっけ?
振られたら失恋で、振ったら何になるの?
恋愛の味も思い出せない。
恋愛の甘さも思い出せない。
恋愛の辛さも思い出せない。
私は、無、だ。
innocentなんて、程遠い。
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