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「青空って、嫌いなんだよね」
ため息をつきながら、言ってしまった。
友人も「そうねぇ」とわかったような、いや、きっとわからなかったのだろう、返事をした。
友人は、バイセクシャルだ。
友人の恋人は、ある時は男性、ある時は女性、ある時は……。
「好きならしかたないじゃん」
友人の口癖は、私の何かを刺激していたのかもしれない。
だけど、その刺激を爆発させる何かに、出会ってはいない。
まだ、と言えばいいのか、出会わない、と言えばいいのか。
「あんたはさ、恋愛恐怖症なの?それとも、恋愛嫌悪症なの?」
「なんでも病気みたいに言う癖どうにかなんない?」
「わかりやすいじゃない」
「どっちでもない」
「……まさかレズビアン?」
「ねえ、なんで男と付き合わないなら女、みたいに言うのよ」
「それでもいいじゃない」
「いいけど、そういうわけでもない」
恋愛、というのは、人の人生において、そんなに大事なことなのだろうか。
友人を見ていると、時々思う。
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