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「急激に近付くと、急速に冷めるものなんじゃない」
彼は言う。
私はよくわからない、と曖昧に笑った。
「佐野さんはさ、社内恋愛しないの」
「してるって思わないんですか」
「その感じでしてたら、相当演技派の彼氏だよね」
笑った彼は、完全に私をフリーだと思っているようだ。
いや、正解だから何も言えないのだけど。
「してませんよ。したいって思って、できるものでもないですしね」
「恋愛は、突然降ってくるものだと思うタイプ?」
「大魔神のように、空から降ってきたら、それはそれでいいな、と思っているタイプです」
春は必ず訪れるけれど、必ず終わる。
恋愛も同様の存在であるなら、私はしたくない。
怖いから。
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