プロローグ

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プロローグ

僕は恋人の明日香と共に生きて、幸せな人生を送る事を夢見る高校1年生だったのだが・・・・ この夏、福島で明日香を狙った無人のトラックに引かれて死亡してしまった。 僕の身体は灰となり、戸籍上は死亡となった。 短い短い人生に終止符を打ったのだ。 ただ、僕の場合は他の人とは違い、未だこの世に存在している。 存在と言っても、心が人の形となって存在している。 幽霊? 化物? もしかしたら、これが幽霊と呼ばれている物なのかも知れないし、化物と呼ばれている物かも知れない。 ただ何も触れる事は出来ないし、声を伝える事が出来るのも、能力を持つ人だけである。 僕も高校1年生の春から能力を使える様になっていた。 人の心の声が聞こえたり、自分の心を物体化させれる事が出来た。 物体化された心の形が、能力者と同じ形になっていたので、僕達は「分身」と言っていた。 そして他人の分身も見る事が出来る。 ここまでは、能力を持つ者は、誰もが持っているのだが、それぞれ持っている能力は、微妙に違う。 それと憎しみや怨みを持つと、分身が黒く染まる。 能力を持っていない人でも極度の憎しみや怨みを受けた時に、黒い影が取り憑く事がある。 そんな分身に触れたり、黒い影を取り祓う能力を持っているのは、恋人だった(?)明日香が持つ能力だった。 僕はその能力を高校1年生の春に、道路に飛び出した子供を助けようとした時に、僕が想いを寄せていた明日香と共に能力を使える様になった。 明日香とは、それがきっかけで親しくなり恋人同士となった。 僕は明日香の事を死んだ今でも愛している。 でも彼女には、死んだ人間の事をいつまでも引きづって生きて貰いたくない。 僕は明日香が幸せになるのを見届けるまでは、ここに居ようと決意した。 それに明日香を狙っている謎の人物が誰なのか? その人物から明日香を守る為なら、どんな事でも僕はすると心に誓う。 明日香に早く僕の事を忘れて貰うため、話しかける事も、触れる事も禁じた。 福島で知り合った、自身の事を神様と語る能力者から、 「明日香のそばにいると辛くて苦しくなるぞ」 と忠告を受けたのだが、この時は、それが正しい選択だと確信していた。 僕が知っている能力者は、明日香、明日香の父親、福島で知り合った中学3年の薫君、そして 明日香の父親が管理者をやっている、能力者を支える為のHPを手伝ってくれている、涼平さん。 このHPは、立ち上げた管理者から引き継がれ、現在では、明日香の父親が管理を任されている。 そしてまでが、僕が生きていた時に、僕が知る能力者だった。 しかし、福島で僕が死んだ事故から能力を持つ様になった菜摘さんが加わる。 菜摘さんは、能力を持つのと同時に、激しく僕の恋人の明日香を恨む事になってしまい、分身が黒く染まる。 そして明日香に危害を加えそうになっているので、僕は何としても防ぎ、前の優しい菜摘さんに戻って貰いたくて、菜摘さんだけに、(僕を忘れて、菜摘さんが前に進む)事を条件に、僕がいる事を伝えた。 僕の声は聞こえる様だったが、姿を見る事も触る事も出来ない。 それでも菜摘さんは、この条件を受け入れた。 その一方で明日香とは、僕が火葬された告別式の夜。 何故か明日香が僕の部屋に居たので、明日香が僕のベッドで寝ている間に、パソコンで別れを告げた。 そして1週間の時が過ぎた
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