アスペルジュ

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アスペルジュ

季節が巡るからといって、時の流れは円をなしているわけではない。時の流れは線をなしている。そして、真っ直ぐに失われていく。静かに、美しく、ほろ苦く。 再び夏がやって来た。あれから、もう何回目の夏だろう? その数が増えるにつれて、私はあの夏から遠ざかっている。遠ざかることで大切な思い出が、色褪せた過去になろうとしている。これ以上、あの夏から離れたくない。忘れたくない。もう一度だけ、近づきたい。 だから私は、歩き続けることにしたのだ。そして、カメラのシャッターを切り、フィルムに青を焼き付けることにしたのだ。私にとって青は大切な色。あの夏と繋がっている色。私がはじまった色。可能性を手放さないための色。あの夏の思い出が、今であり続けますように。アスペルジュ……。
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