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それでもひっきーは、お構いなしで続ける。
「最初は、この当たりで見つけようかって言ってたんだよね。でも、うちとは別に、買いたいって言った人と、ドッキングしてね。その人、別宅無かったみたいで、別宅無いのは、可哀想だから、譲ってあげたって聞いてるのよ。多分、あの葉山邸の元がもみじさんの嫁ぎ先だったんじゃないかしら?」
日傘をクルクル回して話すひっきーは、ロリータ服を着なくても、お嬢様にしか見えないはずだ。
いつの間にか、数分まえに騒いでいた角に突き当り、ひっきーは、フリルを揺らして曲がる。
「ドッキングして、可哀想ってなに? 異次元すぎて、ついていけないんだけど」
「私も」
「お掃除が大変そうよねぇ」
上流階級の家の事情に、何がなんだか分からなくなってきた、三人は、コソコソと庶民の感覚を共有し合う。
「その時の人の名前が、確か葉山って人だった気がするんだよね。譲ってくれてありがとう。ってお礼言われて、パパも人が良いから、仲良くなったみたいだし」
美香達は、生きている世界が違うと、思いながらも違和感だけは、感じ取った。
「日本国内の話から、なんで急に海外へ行ったの?! そっちの方が気になるんだけど!」
「その後、どうなったか、想像もつかない」
美香とバツイチは、葉山邸の話そっちのけで、ひっきーの家の別宅に興味が向く。
「どうってことないわよ? うちは国内の別宅は諦めて、どうせ買うなら海がキレイなリゾート地が良いよねって話して、セーシェルになったの。私は海とか興味ないし、移動距離が短いとこなら、どこでもよかったから、ついでにシェアビルヂングの部屋を借りたってところかな。なんか面白そうだったし」
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