チーム ホマ始動

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チーム ホマ始動

 女子会を楽しんだ週末に、さっそく相談の仕事に取り掛かった。  そこで住民たちは、依頼人と初めて面会した。  応接室も兼ねている一階の食堂で、話を聞くことになった。食堂といってもヨーロッパ調の部屋で、椅子とテーブルも縦長の重厚感のあるアンティーク家具だ。  オーナーも同席し、全員が集まっている。ミンママとワンオペの主婦組は、子供達の面倒を見ながら、お茶の用意をしている。  四人の独身組の音大と美香姉妹、ひっきー、バツイチが横一列に椅子に座って、話を聞く。  独身組の彼女達の目の前には、依頼人の富永政夫と黒いスーツをキッチリと纏っているオーナーが座る。  富永は、見ただけで分かる好々爺だ。口髭を蓄え、穏やかな笑顔を携えている。目尻の笑いジワが、優しそうな顔に良く似合う。大手企業の会長と言われれば、確かにそれらしく見える。見るからに上等なスーツを身に纏って、ヨーロッパ調の食堂の上品さが増した。  だが、一世一代で大きくした敏腕経営者には、見えない。それがまた、富永の大物に見えるオーラに繋がっていた。  庶民派の音大とバツイチは、緊張した面持ちで、表情が強張っている。  四人の代表者として、バツイチが挨拶をする。 「こんにちは、富永さん」 「初めまして、美しいお嬢さん達。私は富永政夫という、ただのじじいです。この度は、こんな老いぼれの戯言を聞いてくれて、ありがとう」  そんなことはないと、バツイチが否定する前に美香が前のめりで喋り出す。 「そんなことないよ。富永さん、めっちゃお若くて、カッコイイじゃないですか」  気安い口調と、若者言葉。美香なりに丁寧に言っているつもりなのは、伝わる。しかし、姉の音大は、気を悪くしたのではないかと気が気ではなかった。 「ホッホッ。ありがとうお嬢さん。若い娘さんにそんなことを言われたら、まだまだ頑張れる気がしますよ」
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