古希を祝おう同窓パーティー

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古希を祝おう同窓パーティー

 クッションがよく聞いたフカフカのソファ。目の前には、噴水が流れ、緑豊かな演出をしている庭園。  赤い長髪を一つにまとめて、頭の高いところで括っているオーナーは、ホテルのラウンジに座っていた。玄関に程近く、客の行き来がよく分かる。  耳に入ったイヤホンをやたらと気にしている。隣に座るひっきーに、怪しまれると怒られる。  慣れないピンマイクを持って、スイッチを入れる。 「こちらオーナー。皆、配置に付いたわね。準備は万端?」 「こちら現役。準備オケマル。てかメッチャ集まってんじゃん。テンアゲ。ヤバタニエン」  美香の声がイヤホンから聞こえる。興奮が抑えられてないのが、声色だけでも分かる。音量を下げようかと思うくらい、うるさい。 「こちらヲタロリ。こっちもオケ。全員、映ってるよ。現役うるさすぎ。ヤバタニエン返し」  オーナーがひっきーのパソコンを見ると、画面が切り替わりながら、チーム・ホマの姿を映している。ようは、カメラをいくつか仕掛けているということだ。 「こちらワンオペ。万全よ。二人共、真面目にやんなさい。現役ナース怒らせたら怖いわよ」 「こちらミンママ。準備完了。楽しいのは分かるけど、喧嘩は後でしましょうね」  二人続けて、通信される。インカムの調子は、なかなか良いようだ。 「こちら音大。私も準備出来てます。……私だけ大学名ってやっぱり変じゃない? 今からでも変えない?」 「こちらバツイチ。こっちは、今から準備に取り掛かるわ。音大ちゃん、私なんてバツイチよバツイチ。なんで自分で言わなきゃいけないのかしら」  残りの二人からの通信が来た。こちらは、コードネームに不満があるらしい。  元は、ひっきーと美香が言い出した話だ。コードネームがあった方が、それらしいと。あだ名を使ったのだが、二人は気に入っていないようだ。
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