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まずは、仲の良かった当時の友人達との定期的な集まりで、彼の事を知る人はいないか聞いてみよう。齢という焦りが、今更ながらに背中を押してくれていた。
『詩織、いつ行ける~?』
大学からの友人、成美からのメッセージに直ぐに返信した。
『いつでも、大丈夫!』
元々、婚活しか予定のない私だ。これは、婚活よりも有意義な結婚への近道かもしれない。
『あんまり人が集まらなかったけど、話したい事あるから、二人でも会おうよ』
うん、二人なら……。成美には知佳の話も打ち明けてもいいかもしれない。短い交際期間だったから、私と知佳が付き合っていたのを知る人は少ない。成美は、そんな私達の関係を知る、数少ない一人だ。
……直ぐに別れると、覚悟の告白だったし思い出に、とまで思って付き合ったのに……7年も引きずってたんじゃあどうしようもないよね。頭では分かっていても、心が動いてくれないのだから、仕方がない。
成美との約束は、直ぐに決まった。結局、私と成美しか予定が会わなかった。だけど、ちょうど良かったのかもしれない。そう思っていた。
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仕事が終わると、成美との待ち合わせへと向かった。知佳へと繋がるルートへ少しの期待を込めて。
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