第3話 詩織

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第3話 詩織

「実は、彼氏が出来たんだよね」 頼んだドリンクが到着するよりも早く、そう言った成美に、嬉しくて仕方がないのだと思った。確かに、この年での新しい彼氏は浮かれるのも無理はない。 “未来への第一歩”恐らく、結婚相手候補ということだ。 「えぇ!? おめでとう、いいなぁ!!」 感情のまま、素直に口に出した。 「……いいなぁって、素直に言えるとこがいいよね。ありがと」 成美が嬉しそうに笑う。 「だって、羨ましいのは羨ましいけど、年が年だしね、良かったなぁって、ねぇ、どんな人なの?」 「あ! そうだ……大学が一緒なのよ、詩織も知ってるかな?」 ……その言葉だけで、私の心臓は急かすように鼓動を早めた。 「桜庭(さくらば)(きよし)私も顔だけ知ってるくらいだったんだけどね……うちに来る取引先の営業マンで……」 清…… 「し、知ってるっ!」 知ってる!知ってるっ! 「え、そ、そんなに? 仲良かった?」 「ち、違う、あの、知佳の友達……演歌歌手みたいな名前だなって、よく覚えて……る……」 こんなに早く繋がると思わなかった。待って、でも、清くんが知佳とまだ繋がってるとは限らない。知佳がこの辺にいるとも、限らない。 だけど……胸を押さえて固まる私に……成美が訝しげな顔で、伺うようにこちらを見ている。
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