1;プロローグ

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ーーーーーーーーーーーー 「ファティマ、これから彼女がこの館の女主人になるドレメン婦人だ。そして、2人は彼女の娘で姉のマライシア、妹のマリゼラだ。これから仕事で家を空けることが多いので来て貰った。世話をして貰いなさい。」 仕事から帰った父が着替えもせず応接室で3人を紹介された。 黒髪に紫の瞳のちょときつい顔の美人のドレメン婦人、黒を基調にした旅用のドレスを着ていた。 上の姉は黒髪に茶色い目のマライシア8歳、緑のドレスに緑の帽子、ちょとくたびれたドレスだった。 下の姉は茶色い髪にグレーの瞳のマリゼラ6歳、オレンジのドレスにピンクの帽子が茶色い髪に合ってない、ちぐはぐな出で立ちだった。 そして二人の姉の容姿はちょっと残念。ドレメン婦人はそこそこ美人で似てないなと思った。 「よろしくお願いします、ボーネット伯爵家の娘のファティマと申します、仲良くしてください」 ドレスの端をつまんで淑女の礼をした。 「聡明なお嬢様ですこと、5歳にしてすばらしい礼儀ですわ。さすが明主と名高いボーネット伯爵家のご令嬢ですわね。宜しくお願いしますわファティマさん」 怪しく笑うドレメン婦人、横で落ち着きの無い二人の姉が騒いでいた。 最初は父親も週に一度は帰ってきていたため、3人は普通に私に接していた。 少し躾けに厳しいドレメン婦人だったが、それ以外は問題なく過ごしていたと思う・・・ そして5年が経ち、10歳になった私。目の前に遠くの外国に仕事に行っている父からの贈り物、包みには私の名前が書かれている。でもそれをマライシアお姉さまに取り上げられた。 「だんな様は当分帰って来られないそうよ、5年から10年は向こうに居るんですって、娘を宜しくって!ふっははははっ!やっと自由に出来るわね・・・」 その様子を見て不敵に笑う継母、私は呆然としていた。あれ?私宛のお土産なのに?あれ? 「マライシアお姉さま?それ私のですわ・・・」 荷物に手を伸ばすと・・ バシッ・・・・ドンッ 継母からびんたが飛んできてバランスを崩した私はそのまま床に倒れこむ。 何が起こったのかわからず叩かれた頬を手で覆い、涙目で継母を見た。 そこには不適に笑う3人の顔があった。 包みに入っていたのは外国の流行りのドレス。 「マリゼラに似合いそうねサイズもあうし」 マライシアお姉さまが包みから出したドレスをマルゼラお姉さまにあてがう。 サイズが合うのは当たり前、私のサイズだとお姉さまのサイズをお父様に連絡していたらしい。 お姉さまはご機嫌だった。 それから地獄が始まった。 部屋を追い出され、屋根裏の暗く寒い部屋に追い立てられた。 「これから屋敷のことはあなたがやるのよ、手を抜いたらお仕置きですわよ!」 鞭を持って、みすぼらしい服を投げつけられ言われた。 恐怖で何も言い返せなかった。 今まで手は挙げられなかったが、厳しい言動をされていて萎縮してしまっていたから。 屋敷で働いて居たものたちは、最初いろいろ言ってくれたが、言うと私に鞭が打たれるのと、どんどん解雇されていくので言えなくなって行った。 数ヶ月後には乳母やそれまで務めていた者達は皆解雇されていた。新たに来たのはガラの悪い少女だった。 「あんた酷い恰好ね~本当はあんたが正式なこの家の娘なんでしょう?キャハハいい気味、私貴族って大嫌いなのよね」 ロザリーと言ったその少女はメイド服の裾をまくって大またで椅子に座り、こちらを睨みつけていた。 軽く掃除はしていたが、殆ど何もせず私の監視をしている様だった。 調理人は通いで昼と夕食のみ、朝食は私が準備していたので朝は早い。鞭で叩かれた翌朝はとても辛かった。冬の寒さもこたえた。朝のこともあるので、厨房の暖炉の脇で寝ていたら灰だらけになっていたので 「灰かぶり」と呼ばれるようになった。
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