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「でも、それほどの怪我だったのに、どうして」 「どうしてここまで回復したかって? 一生自分の脚で立てないのはごめんだったからね。必死にリハビリしたのよ。医者も驚いてた。でも、それだけじゃやっぱり満足できなくて。立って見える景色だけじゃなくて、誰も知らない、よじ登らないと見えない景色や、それが高速で回転したり、逆転したりするのをもう一度自分の目で見たくて堪らなかった。これでも、頭ではやめとけって散々言い聞かせてたのよ。でも、体はわがままでさ」  暁美は急に駆け出した。不二子は止めようと思ったが、言葉を失った。  暁美は勢いよく壁を蹴り上げると、バク宙しながら着地した。まだクロックスの足を軸足にするには本調子ではないのか、もう一方の軸足に添えていただけだったが、それは軸足の筋力やバランス感覚が相当でないと成せない技である。 「ねえ、不二子が決めてくれない? 私が、パルクールの世界に戻ってきてもいいか」
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