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「なんで私が」 「自分では頭と体が喧嘩して決められないのよ。私は、あんたの言うことには従うからさ」  不二子は正直、残酷だと思った。  その決断は、人生を左右するほど重大であることを不二子は知っている。笑いながら言っていたなら、引っ叩いているところだった。  (うつむ)き、小刻みに唇が震えている暁美の、今までに見たことがない顔。  冗談半分で言ったのではない。自分の体のことや、自分が本当にやりたいこと、不二子のことや諸々の事情を天秤に並べた結果、まったく同じ重さだったのだろう。  (がら)にもなく最低な方法だが、他人に決めてもらわないと、ずっと決められないまま苦しむことになる。  暁美らしくない頼みと表情から、そこまで読み取ることができてしまったのだから、仕方ない。 「分かった。考えとく」
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