プラチナ

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 全日本大会、表彰式。  香代に銀メダルが掛けられた。  大会のお偉いさんと握手したときは笑顔だったが、お偉いさんが一位の選手の前に移った瞬間、香代は密かに唇を噛んだ。  金メダルを掛けられた瞬間、暁美はとびっきりの笑顔に、涙を一筋だけ伝わせた。  割れるような拍手と歓声、悲劇のヒロインを讃えるアナウンス、ヒロインを勝者に変える澄み切った青空と、清々しい風。  考えておく。不二子はそう言ったものの、答えは一つしかなかった。  家族なら止めていたかもしれない。生憎(あいにく)、親友だったのだ。  危険を冒してでも、本当に好きなことがしたい。そんな心の声が聞こえたら、親友なら無視するわけにはいかないだろう。  不二子にはただ、暁美をライバルと捉える心の準備が必要だったのだ。  表彰台の三位の段には、誰の姿もない。  キャップを深く被った不二子は、表彰台を仰ぐ人の群れに紛れて、会場を去った。  銅じゃだめ。熱くなるから。
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